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歯の根っこだけ残った時の治療方法
虫歯が神経まで到達した場合神経の治療を行い、残った根っこの土台を立てて被せ物をします。しかしお口の中は湿度も高く、温度の変化も大きい環境のため長い間被せ物を使っていると、土台を立てた歯根(歯の根っこ)が虫歯になってくることがあります。歯根が虫歯になると隙間から細菌感染を引き起こし根尖性歯周炎(根っこの先に膿をもつ病気)や被せ、土台が外れてくることがあります。
今回は神経の治療後、被せ物をした歯が土台ごと虫歯によって取れてきた症例の治療をご紹介します。
右上2番と3番(右上の前歯から2番目と3番目の歯)のかぶせ物が外れてきた方の症例です。写真1写真2は被せ物が外れて仮歯の状態の写真です。この方は歯の根っこが虫歯になり、土台ごと被せが取れてきました。特に右上3番では根っこが歯茎に覆われほとんど見えない状態です。このままだと根っこの虫歯を取りきることも出来ませんし、この根っこに被せをすることも出来ません。そのため写真2に見える金具にゴムをひっかけ根っこを引っ張り出す矯正的挺出(エクストルージョン)を行いました。
約1カ月ゴムで根っこを引っ張り出すことで根っこが見えるようになってきました
ゴムによる矯正的挺出が終わり、仮歯を外した状態です。右上2は歯の長さは十分あるように見えますが口蓋側(裏側)を見ると金属の土台に交じってコンポジットレジン(樹脂)が詰めてあります。この樹脂の下に虫歯が広がっており歯茎に下にまでおよんでいます(歯肉縁下カリエス)。そのため虫歯を完全に除去し、歯の根っこを歯茎に上に出すために外科処置(歯冠長延長術)を行います。
外科処置(歯冠長延長術)直後の写真です。できるだけ小さく切開することで術前の写真5、写真6とほとんど変わりません。外科手術ですので痛みは伴いますが、侵襲を最小限にしすることで痛みも最小限になるよう努めております。
ジルコニアクラウンが入り半年後の写真です。
歯茎に腫れや赤身などの炎症も見られず、歯と歯の間の隙間も歯茎で埋まり歯茎が下がって見えることもないかと思います。
治療期間4カ月
ジルコニアクラン2本 20万
【注意点】
症状や、口腔内の状況によっては抜歯せざるをえない場合もございます。