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糖の摂取とう蝕(虫歯)の関係について
こんにちは、今日は「糖の摂取とう蝕(虫歯)」について詳しく解説します。
糖の摂取量より回数が重要?
皆さんも一度は「砂糖を摂りすぎると虫歯になる」という言葉を聞いたことがあるでしょう。しかし、実際には糖をどれだけ摂取するかよりも、どれだけの頻度で摂取するかが問題なのです。
約70年前のVipeholm studyという有名な研究では、精神病の成人患者に5年間、さまざまな食品を与える実験が行われました。この結果、糖を頻繁に摂取する患者(特に口腔清掃不良の患者)ではう蝕が非常に多く発生することが明らかとなりました。一方、糖の摂取量自体は多かったものの、摂取回数が少ない患者ではう蝕の発症は増加しましたが、その増加率は比較的ゆるやかでした。
また、近年の研究では、フッ化物を使用したケアを行う現代では、糖の摂取量と虫歯の発症の相関性は弱いことが指摘されています。しかし、糖の摂取回数が増えると、それが虫歯のリスクを高めることが示唆されています。
なぜ回数が問題なのか?
砂糖を頻繁に摂取すると、歯の表面の脱灰時間が長くなり、これが虫歯のリスクとなります。一度砂糖を摂取すると、歯の表面が酸にさらされ、これがう蝕の原因となります。繰り返し砂糖を摂取することで、歯の表面が継続的に酸攻撃を受け、虫歯のリスクが高まります。
研究からの教訓:1日の糖の摂取回数
いくつかの研究を見てみると、糖の摂取回数とう蝕の発症との関係が明確に示されています。
- Gustafsson 1954 (Vipeholm study):成人での研究で、1日4回以下の糖の摂取であれば、う蝕の発症が低いことが示されました。
- Holbrook 1995:5歳児を対象とした研究で、1日4回以上の糖の摂取でう蝕の発症が増加することが示されました。
- Holbrook 1989:4歳児を対象とした研究で、1週間に30回以上の糖の摂取は、dmft(虫歯の数)が高くなることが示されました。
- Duggal 2001:成人を対象とした研究で、フッ化物配合歯磨剤を使用している場合は1日5回以下、使用していない場合は1日3回以上の糖の摂取で脱灰が再石灰化を上回ることが示されました。
これらの研究から、糖を含む飲食を1日4回までに抑えることが、う蝕リスクを低く抑えるための一つの指標と言えます。ただし、虫歯の発症には他にもさまざまな要因が関わっていますので、食生活だけでなく、日常のケアや歯医者さんの定期的な診察も大切です。
まとめ
虫歯を予防するためには、糖の摂取回数を減らすことが非常に重要です。特に、糖を含む飲食を1日4回以下にすることをおすすめします。また、定期的な歯科診察を受けることで、早期の虫歯を発見・治療することができますので、お気軽にご連絡ください.