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口腔がん検診の日
11月15日は口腔がん検診の日です。
2008(平成20)年11月15日に開催された第21回 日本歯科医学総会にて、アウェアネス・リボン活動(社会問題や難病に対して、世界で統一した色のリボンを身につけ、支援を表明するために身につけるアイテムを”アウェアネス・リボン”と言います。乳がん検診の早期受診を啓発するシンボルとして「ピンクリボン」などがあります)の一環として
口腔がん撲滅運動を示すレッド&ホワイトリボンが発表されたことにちなんで、公益社団法人東京都玉川歯科医師会が記念日に制定しております。
口腔がん撲滅運動、これは口腔がんに対する正しい知識を世に浸透させ、口腔がんの早期発見と検診の受診を促進させる目的として米国でも広まっており、東京都玉川歯科医師会を中心に、口腔がんの撲滅運動に賛同する歯科医院やドクターがこの赤と白のリボンを掲げています。(なぜ赤色と白色なのか? 口腔がんと判別するうえでひとつの目印となるのが炎症です。そのなかでも白い部分と赤い部分が混在する炎症は特に注意が必要とされ、炎症部分が隆起しているもの や、しこりのような硬さのあるものは医師の診察が必要とされています)
例年11月15日前後には、口腔がん検診への呼びかけ運動が全国的に展開されております。
口腔がんとは、口腔内に
- しこり
- 腫れ
- ただれ
などができることで痛みを伴う癌の一種です。
上記がなかなか治らない場合には特に注意が必要だとされております。
口腔がん検診の重要性
日本は、世界の先進国の中で、唯一、口腔がんの死亡数が激増している国!ということをご存じでしたか?
(※日本での口腔がん患者の死亡率は「35.5%」と米国(19.8%)の約1.7倍です!)
口腔がんは、悲惨な「がん」です。手術になれば、舌・顎・頬の一部、もしくは、大部分を切除せざるを得ず、その結果、口の機能に大きな障害を持つことになります。
私が神戸大口腔外科教室に在籍中に担当した方では眼球を含め切除し、その後の化学療法でも非常につらい思いをされた方、あるいは自ら命を絶たれた方もありました。また西脇病院勤務時に見つけた舌がんの方は神戸大で手術時も、その後また西脇病院で亡くなるまで担当したこともありますが非常につらい思いをされておられました。開業してから見つけた舌がんの方は初期でしたので今もお元気です。
口腔がんの主な原因(症例から)
- 生活習慣(喫煙、飲酒等)
- 歯列不正(歯並びが悪い)、義歯不適(入れ歯が合わない)
- う蝕(虫歯)・歯周病、詰め物・被せ物不適
- 舌小帯付着異常(舌の裏の紐のような部分が短い方は要注意)
- アマルガム(金属の詰め物)
- 口内炎(10日くらい経過しても治らない場合は要注意)
- HPV(ウィルス)、など
口腔がんはお口の中に発生するがんで、歯以外のどこにでも発生する可能性があります。舌がん、歯肉(歯ぐき)がん、口腔底(舌の下)がん、頬粘膜がん、口蓋がん、口唇がんがあり、そのうち日本人に一番多いのが舌がん(約60~70%)です。
頭や喉にできるがんの中では、喉頭がんに次いで多いのが口腔がんです。がん全体からすれば約1~3%と低い数値ではありますが、日本では年間7,000人以上が口腔がん(咽頭含む)で亡くなられており、残念ながら、この数字は年々増え続けています。
口腔がんの症状
口腔がんの場合、初期は自覚症状がほとんどありません。痛みがある、食べ物や飲み物がしみる、違和感がある、首のリンパ節が腫れる、なかなか口内炎が治らない、といった症状が出てきたときは、すでにがんが進行している状態です。
目に見える症状として、舌や粘膜の変色があります。ほかにも、しこりがある、ざらざらした突起・潰瘍、口の中の痛みしびれ感、物が噛みづらい、飲み込みにくい、話しづらい、顎や舌を動かしにくいなどの症状が現れます。
歯が欠けたり虫歯になったりして尖った部分がある、詰め物や被せ物の不適合、入れ歯が合わないなど、舌に慢性的な刺激が加わると、口腔がんを発症する場合があります。初期段階では潰瘍やびらんができます。
通常、がんになるまでには5年~10年はかかりますので、最低でも1年に1回、「口腔がん検診」を兼ねて歯医者を受診し、歯周病も含めて早期発見、早期治療を心がけてください。初期の段階であれば通常の生活ができますので、皆様もご注意ください。