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詰め物だけで虫歯は防げない
今日は、むし歯予防に関する研究結果についてお話しします。むし歯予防のために、どのような方法が有効かを調べた無作為対照臨床試験の結果を紹介します。この試験は、カリフォルニア大学サンフランシスコ校(UCSF)で行われ、特に高リスクの患者に対するフッ化物とうがい薬の効果を調査しました。
試験の概要
この試験は、18歳から65歳の成人を対象に実施されました。参加者は、1〜7本のむし歯を持つ患者で、無作為に2つのグループに分けられました。一つのグループは、従来の治療法を継続する「コントロールグループ」です。もう一つのグループは、特定の介入を受ける「介入グループ」です。介入グループには、以下の治療が行われました:
フッ化物うがい薬:
- 濃度:05%フッ化ナトリウム(NaF)
- 使用方法:1日1回、夕方に使用。
フッ化物歯磨き粉:
- 濃度:1,100 ppmフッ化ナトリウム(NaF)
- 使用方法:1日2回、朝と夕方に使用。
クロルヘキシジングルコン酸塩うがい薬:
- 濃度:12%
- 使用方法:2週間毎日1回うがいし、3ヶ月ごとに繰り返す。
試験の結果
試験の結果、以下のような重要な知見が得られました。
- 24%のむし歯増加の減少: 介入グループの高リスク患者では、2年間のむし歯増加が24%減少しました。これは、従来の治療を受けたコントロールグループと比較して、むし歯の進行が大幅に抑えられたことを示しています。
- 修復処置のみでは新たなむし歯の発生を防げない: 試験では、修復治療を受けたコントロールグループの約70%の被験者が、2年間のフォローアップ期間中に新たなむし歯を発生させました。これに対して、介入グループでは新たなむし歯の発生が有意に少なかったです。この結果は、修復処置だけではむし歯の発生を防ぐには不十分であり、追加の予防措置が必要であることを示しています。
- クロルヘキシジングルコン酸塩うがい薬の効果: クロルヘキシジングルコン酸塩うがい薬は、毎月1週間、1日1回使用することで、むし歯原因菌のレベルを著しく低下させることが示されました。
- 再分析の結果: 試験結果の再分析により、むし歯の減少が唾液中の細菌レベルの変化、フッ化物濃度、およびその他の未測定の要因の相互作用によって引き起こされたことが示されました。
- 抗菌療法の必要性: 高リスクの個人において、フッ化物療法に加えて抗菌療法を組み合わせることで、むし歯の進行を防ぐのに重要な役割を果たすことが明らかになりました。
具体的なデータ
試験の結果、以下のような具体的なデータが得られました:
- フッ化物とクロルヘキシジンの組み合わせ: 介入グループでは、フッ化物うがい薬とフッ化物歯磨き粉、12%クロルヘキシジングルコン酸塩うがい薬の併用が、高リスク患者の2年間のむし歯増加を24%減少させました。
- 新たなむし歯の発生: コントロールグループでは、約70%の被験者が2年間のフォローアップ期間中に新たなむし歯を発生させましたが、介入グループではこの割合が有意に低かったです。
まとめ
この無作為対照臨床試験は、むし歯予防におけるフッ化物および抗菌療法の重要性を強調しています。特に高リスク患者に対しては、修復処置だけではむし歯の発生を防ぐには不十分であり、フッ化物療法と抗菌療法の併用が効果的であることが明らかになりました。日々の口腔ケアにおいて、これらの方法を取り入れることで、より健康な歯を維持することができるでしょう。
皆さんも、フッ化物を含む歯磨き粉やうがい薬を使って、むし歯予防に努めてみてください。そして、定期的に歯科検診を受けることも忘れずに。健康な口腔環境を維持するためには、日常のケアが非常に重要です。今後も新しい研究結果や情報をお届けしていきますので、お楽しみに!
参考文献
Featherstone JD, White JM, Hoover CI, Rapozo-Hilo M, Weintraub JA, Wilson RS, Zhan L, Gansky SA. 2012. A randomized clinical trial of anticaries therapies targeted according to risk assessment (caries management by risk assessment). Caries Res. 46(2):118–129